眼科コラム

オルソケラトロジーの費用はいくらかかる?
年間総額と医療費控除の使い方

目次

オルソケラトロジーの費用は、初期費用15万〜20万円程度の「買い切り型」と、月々数千円〜1万円程度を払い続ける「定額制」で大きく見え方が変わります。レーシックやICLのように一度払って終わりではなく、レンズ交換やケア用品で長く費用が発生する治療です。同時に、オルソケラトロジーは医療費控除の対象として国税庁が明示している数少ない自由診療でもあり、家計への実質負担は確定申告の使い方で変わります。

この記事では、料金体系の違いと年間トータルコスト、医療費控除で実際にいくら戻るのかを整理します。

オルソケラトロジーの費用は何にいくらかかるか

オルソケラトロジーの費用は1つの料金で完結しません。初期費用・月額または年額の継続費用・ケア用品代の3つに分かれており、それぞれが何のための費用かを把握しておくと、クリニックごとの料金表を比較しやすくなります。

初期費用:レンズ代と適応検査

最初に発生するのが、適応検査費とレンズ代です。

適応検査では、角膜の形状・厚み・近視の度数・ドライアイの有無などを調べ、オルソケラトロジーが安全に使える目だと判断できて初めて治療に進みます。検査費用は5,000〜11,000円程度が一般的な目安です。

レンズ代は両眼で15万〜20万円程度が相場です。
武田眼科では適応検査が11,000円(税込)、初期費用が両眼66,000円/片眼33,000円(税込)となっています。

初期費用は「レンズ本体の値段」ではなく、トライアル期間中の調整費・初回の処方料・予備レンズ代を含めた一式の値段という見方が正確です。クリニックによって含まれるものが違うため、料金表を比較するときは「この金額に何が含まれるか」を必ず確認してください。

継続費用:定期検診とレンズ交換

オルソケラトロジーは1度処方して終わりではなく、装用を続けるかぎり定期的な検診が必要な治療です。レンズの汚れ・角膜の状態・度数の変化を確認するため、3〜6ヶ月ごとに通院します。

クリニックによって料金の組み立てが大きく違うのが、ここからの継続費用です。「最初に大きく払って後は検診のたびに数千円」という料金体系もあれば、「初期費用を抑えて毎月定額」という料金体系もあります。

レンズ自体も消耗品です。一般的にレンズの寿命は2〜3年程度で、傷や汚れの蓄積で交換時期がきます。クリニックによっては2年ごとにレンズを無償交換する保証を料金に含めているところもあり、武田眼科もこの形を採っています。

これがあるかないかで、5年間の総額は数万円単位で変わります。

ケア用品代:毎月のランニング

レンズの洗浄液・保存液・タンパク除去剤などのケア用品は、医療費控除の対象外で、毎月2,000〜3,000円程度かかります。年間で2万〜4万円程度の出費です。

ハードコンタクトレンズと同じケアが必要で、ケア用品はクリニックで処方してもらうものではなく、ご自身で購入する消耗品です。市販品が使えるため、価格はドラッグストアやネット通販でも変わります。

オルソケラトロジーの料金体系には2タイプある

買い切り型と定額制では、初期費用と継続費用のかかり方が反転しています。どちらが家計に合うかは、何年続けるかと、途中で度数が変わるかで変わってきます。

買い切り型と定額制の違い

料金タイプ 初期費用 継続費用 向いているケース
買い切り型 両眼15万~20万円程度 検診のたびに数千円。
レンズ交換時に追加費用
度数が安定している成人。
長く同じレンズで続けたい方
定額制 数万円~
(武田眼科は両眼66,000円)
月額6,000円~11,000円程度 度数が変わりやすい子ども・成長期。
レンズ交換保証を重視する方

定額制は、月額にレンズ交換費用・定期検診料が含まれていることが多く、度数変化や紛失・破損が起きてもその月の追加費用なしで対応できるのが特徴です。

買い切り型は最初に大きな金額を払いますが、軌道に乗ったあとは検診時の数千円とケア用品代だけで済むため、長期的な総コストは抑えやすい傾向があります。

何年続けるかで総額が変わる

3年続けた場合、買い切り型と定額制の差はあまり出ません。5年・10年と続けるほど、買い切り型の方が総額は抑えられる傾向があります。

ただし、これは度数が安定していてレンズ交換が最小限で済む場合の話です。子どもの近視抑制目的でオルソケラトロジーを始めた場合、成長に合わせて度数が変わるため、買い切り型だとレンズ追加購入で総額が読みづらくなります。

定額制は「月額が予測できる」ことが家計上のメリットです。子どもの近視抑制目的で始める場合、成長期が終わるまでの数年間は定額制を選び、度数が安定してから買い切り型に切り替えるという考え方も成立します。

メガネ・コンタクト・レーシックとオルソケラトロジーの費用比較

オルソケラトロジーは初期費用が高く見えますが、視力矯正を「何で」「どう続けるか」で長期的な総コストは大きく変わります。

視力矯正手段ごとの3年間の総額

矯正手段 3年間の総費用目安
メガネ(2年ごとに3万円で買い替え) 約6万円
1日使い捨てコンタクトレンズ
(両眼月5,200円)
約18万円
オルソケラトロジー
(買い切り型・新規15万円+検査)
約15万円
レーシック(両眼) 30万~40万円程度

※数値は一般的な相場の目安です。1日使い捨てコンタクトレンズは両眼で月5,000〜6,000円程度(30枚×2箱)、
メガネは2年ごとに3万円で買い替える前提で算出しています。
レンズの種類・度数・購入経路により実際の費用は変わります。

1日使い捨てコンタクトレンズを毎日使い続けるなら、3年程度でオルソケラトロジーの初期費用を上回ります。
日常的に裸眼で過ごしたい時間が長い方ほど、オルソケラトロジーの相対的なコスト感は良くなる計算です。

レーシック・ICLとは「やり直しできるかどうか」が違う

レーシックやICLは1回の手術で大きな金額を払い、それで完結する治療です。手術後は基本的に追加費用がかからない一方、角膜を削ってしまったあとは元に戻せないため、合わない・度数が変化したときの選択肢が限られます。

オルソケラトロジーはレンズの装用をやめれば1〜2週間で元の角膜形状に戻るため、合わなければ中止できる治療です。継続費用がかかる代わりに、可逆性という安心料を払っているとも言えます。「初期費用の高さ」だけで判断せず、やめられるかどうかも選択基準に入れると、自分にとっての適切な手段が見えやすくなります。

オルソケラトロジーは医療費控除の「対象」です

オルソケラトロジーは自由診療ですが、医療費控除の対象として国税庁が個別に明示している自由診療です。
同じく自由診療のレーシックやICL、ホワイトニング、自費の歯列矯正と扱いが異なる点なので、確定申告で活用するメリットが大きい治療です。

リテーナーレンズ(夜間装用するレンズ本体)の購入費用も対象に含まれます。

一方、近視等の屈折異常を矯正するために購入したメガネ・コンタクトレンズの代金、屈折検査やメガネ処方の費用は、
「視力を回復させる治療の対価」に該当しないため、医療費控除の対象になりません。

医療費控除の計算方法

医療費控除の足切り額は、所得によって2通りの計算方法があります。

  • 総所得金額等が200万円以上の方:10万円
  • 総所得金額等が200万円未満の方:総所得金額等の5%

たとえば総所得金額等が150万円のパート勤務の方であれば、足切り額は7万5,000円となり、医療費が10万円に届かなくても控除を受けられる可能性があります。共働き世帯では、所得が低い方の名義で医療費控除を申請したほうが還付額が大きくなるケースがあります。家族の中で誰の名義で申告するかは、所得を比べて決めるのが基本です。

医療費控除は、ご自身だけでなく「生計を一にする家族」の医療費を合算できる制度です。子どものオルソケラトロジー費用を親の所得から控除する、夫婦どちらかの治療費を世帯主の所得から控除する、といった使い方ができます。

参考:オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療に係る費用の医療費控除(国税庁)

対象になる費用・ならない費用

区分 控除対象になるか
適応検査費
レンズ代(リテーナーレンズ含む)
定期検診料・診察料
クリニックでの処方料・調整料
ケア用品(洗浄液・保存液など) ×
メガネ・コンタクトレンズの代金 ×

クリニックでの治療費の領収書は、医療費控除の申告とその後の保存(5年間)に備えて必ず保管しておきましょう。

検診や処方のための通院に使った公共交通機関(電車・バス)の運賃は、医療費控除の対象になります。子どものオルソケラトロジーで親が付き添った場合、付添人の交通費も対象です。

自家用車のガソリン代・駐車場代・タクシー代(公共交通機関が利用できる場合)は対象外となっています。

参考:No.1122 医療費控除の対象となる医療費(国税庁)

オルソケラトロジーで控除を受けたときの計算例

オルソケラトロジーを始めた1年目の医療費を例に、戻ってくる金額の目安を計算します。

前提条件は次のとおりです。

  • 給与収入500万円の会社員(共働き世帯の片方)
  • 給与所得控除後の給与所得:356万円
  • 課税所得:約230万円(基礎控除・社会保険料控除等を差し引いた想定)
  • 適用される所得税率:10%
  • 住民税率:10%(一律)
  • その年の医療費:オルソケラトロジー初期費用+月額3ヶ月分+家族の医療費で20万円

この前提でかかる計算は次のようになります。

  • 控除対象額:20万円− 10万円(足切り額)= 10万円
  • 所得税の還付:10万円× 10% = 1万円
  • 翌年の住民税の軽減:10万円× 10% = 1万円
  • 合計:2万円程度の負担軽減

※上記は前提条件をおいた試算です。実際の還付額は所得額・控除額・税率帯により変わるため、国税庁の確定申告書等作成コーナーで試算するのが確実です。

所得税率20%帯(課税所得330万〜695万円)の方であれば、同じ20万円の医療費でも還付額は2万円+住民税1万円で計3万円程度になります。所得が高いほど還付額も大きくなる仕組みです。

オルソケラトロジーの費用に関するよくある質問

オルソケラトロジーの費用に保険は使えますか?

オルソケラトロジーは公的医療保険の対象外で、全額自己負担の自由診療です。
ただし医療費控除の対象になるため、確定申告で一定額の還付・住民税軽減を受けられます。

レンズを紛失・破損した場合の費用はどのくらいですか?

買い切り型のクリニックでは、片眼で数万円程度の追加費用がかかるのが一般的です。
定額制のクリニックでは、月額に紛失・破損保証が含まれていることが多く、追加費用なしまたは少額の手数料で再作成できる場合があります。契約前に補償範囲を確認しておくと安心です。

子どものオルソケラトロジーも医療費控除の対象になりますか?

対象になります。国税庁は近視治療に係る費用が医療費控除の対象であることを明示しており、年齢による区別はありません。子どもの治療費を親の所得から控除して申請するのが一般的です。

クレジットカード払いでも医療費控除は受けられますか?

受けられます。医療費控除はその年に「支払った」医療費が対象で、支払い方法は問われません。
分割払いやリボ払いの場合は、支払った年ごとに按分して控除する必要がある点に注意が必要です。

オルソケラトロジーの月額費用はずっと変わりませんか?

定額制のクリニックでは、初年度と2年目以降で月額が変わる料金体系が一般的です。
レンズ交換の頻度が下がる2年目以降は月額が下がる、または初期費用を払えば月額が下がる仕組みになっていることが多くあります。武田眼科では2年ごとにレンズの無償交換を行っており、長期的な追加費用が抑えられる料金体系です。

まとめ

オルソケラトロジーの費用は、初期費用15万〜20万円程度の買い切り型か、月額6,000〜11,000円程度の定額制かで支払い方が大きく変わります。3年程度では両者の総額に大きな差は出ませんが、5年・10年単位で続けるほど買い切り型のほうが抑えやすくなる傾向があります。

武田眼科では、適応検査・トライアル期間を経てから治療を始める段階的なアプローチをとり、2年ごとのレンズ無償交換を料金に含めることで長期的な追加費用を抑えています。費用面で不安がある方も、まずは適応検査でご自身の角膜がオルソケラトロジーに合うかを確認することから始められます。

この記事の監修者

武田眼科
院長 武田俊彦

地域の皆さんの少しでもお役に立てるよう努力します。
患者さまの目線で病気を見つめ、わかりやすい言葉でご説明することを大切にしています。

■ 経歴

  • 平成14年4月:関西医科大学眼科 入局
  • 平成15年5月:日本赤十字社和歌山医療センター眼科 勤務
  • 平成17年10月:関西医科大学滝井病院眼科 勤務
  • 平成18年4月:関西医科大学滝井病院救命救急センター 勤務
  • 平成19年8月:医療法人慈眼会 武田眼科 院長就任
  • 平成19年9月〜12月:天理よろづ相談所病院 非常勤医師

■ 資格・認定

  • 眼科専門医

【オルソケラトロジー治療に関する重要事項】

オルソケラトロジーは公的医療保険が適用されない自由診療です。

  • 治療内容:就寝中に専用のハードコンタクトレンズを装用し、角膜の形状を一時的に変化させて日中の裸眼視力を改善する治療
  • 治療期間・回数:装用初日から効果が出始め、一般的に1週間程度で安定。装用を継続している間のみ効果が持続し、中止すると角膜は元の形に戻る(個人差あり)
  • 費用の目安:初年度(両眼)15万〜20万円程度、2年目以降の年間費用3万〜6万円程度。クリニックにより異なるため、詳しくはクリニックへお問い合わせください
  • リスク・副作用:角膜感染症(角膜潰瘍など)、ドライアイ、見え方のムラ、夜間の光のにじみ(ハロー・グレア)、装用感の違和感など。レンズケアを徹底できない場合は適応外

【使用する製剤について】

オルソケラトロジーレンズのうち、ブレスオーコレクト(ユニバーサルビュー社)、メニコンオルソK(メニコン社)等は、近視・乱視矯正を効能効果として厚生労働省の薬事承認を受けています。一方、近視進行抑制を目的とした使用は承認された効能効果ではなく適応外使用にあたるため、以下が該当します。

  • 適応外使用にあたること:近視・乱視矯正の効能で承認された医療機器を、近視進行抑制の目的で使用するため、承認された効能効果の範囲外の使用にあたります
  • 入手経路:国内で薬事承認を受けた製品を、医療機関を通じて正規ルートで入手しています
  • 国内の承認医薬品等の有無:近視進行抑制を効能効果として承認された医療機器は国内に存在しません
  • 諸外国における安全性等に係る情報:海外では近視進行抑制目的の使用について複数の臨床研究報告がありますが、長期的な安全性評価は継続中です
  • 副作用被害救済制度:医療機器であるオルソケラトロジーレンズは医薬品副作用被害救済制度の対象外です。また適応外使用は通常、再生医療等製品副作用救済制度を含む救済制度の対象外となります