眼科コラム

白内障手術の入院は何日?日帰りと入院の選び方

目次

白内障手術は片眼あたり10〜15分ほどで終わる手術ですが、「日帰りで受けるか、入院して受けるか」で迷われる方は少なくありません。実は、日帰りも入院も手術の内容自体は変わらず、違うのは術後の過ごす場所と通院回数だけです。この記事では、両者の違いと、どのような方に入院が向くのかを整理します。

白内障手術は日帰りと入院のどちらが選ばれているか

白内障手術は国内で年間約180万件行われており(厚生労働省第10回NDBオープンデータ・令和5年度)、その大半が日帰りまたは1〜3日程度の短期入院で受けられています。「日帰りか入院か」は、手術の難しさで決まるのではなく、術後の生活環境とご本人の体調管理のしやすさで決まります。

参考:第10回NDBオープンデータ|厚生労働省

日帰り手術が現在の主流になっている

白内障手術は1990年代以降に小切開・超音波乳化吸引術が標準化されたことで、日帰りで受けられる手術の代表例になりました。現在では多くのクリニックで日帰り手術が選択されています。

日帰りが主流になった背景には、手術の低侵襲化と、術後感染症の予防が点眼薬で十分にできるようになったという2つの変化があります。以前は術後の感染管理のために抗生物質の点滴・注射が必要で、入院が前提でしたが、現在は点眼薬の組み合わせで同等の感染予防ができるようになっています。

入院手術も全国の病院で選択肢として残っている

総合病院や大学病院、入院設備のある眼科では、現在でも1泊2日〜3泊4日程度の入院での白内障手術を行っています。日帰りで受けるか入院で受けるかは、ご本人の年齢・持病・通院距離・自宅でのサポート体制を見たうえで主治医と相談して決めるのが基本です。

「日帰り=手術が軽い」「入院=手術が大がかり」というイメージを持つ方がいますが、これは誤解です。執刀の内容、使う眼内レンズ、手術時間に違いはありません。違いは術後の翌朝までをどこで過ごすか、通院の頻度をどう設計するかという、術後ケアの組み立て方の差になります。

入院で白内障手術を受ける場合は何日かかるか

入院での白内障手術の日数は、片眼か両眼か、施設のスケジュールがどう組まれているかで変わります。一般的には1〜3日程度の短期入院で組まれることが多く、両眼を続けて受ける場合は片眼ずつ日をずらす分だけ全体の日数が長くなります。

片眼の入院は1泊2日で組む施設が多い

片眼ずつ手術を行う場合、1泊2日で組む施設が多く見られます。手術当日に入院し、翌朝に眼帯を外して経過を確認、問題がなければそのまま退院、という流れが多くなっています。

1泊2日入院の最大のメリットは、手術直後から翌朝までを医療スタッフのいる環境で過ごせることです。白内障手術後の半日〜1日は片眼に眼帯を当てた状態になるため、視界の片方が遮られた状態で階段の上り下り・夜間のトイレなど日常動作を行うことになります。自宅で一人で過ごすのが不安な方、転倒のリスクが気になる方には、この一晩の安心が大きな価値になります。

両眼の入院は片眼ずつ日をずらして行う

両眼を続けて入院手術で受ける場合は、片眼ずつ日をずらして手術するため、片眼のみの入院よりも数日長いスケジュールが組まれます。1日目に1眼目を手術して経過を見て、数日後に2眼目を手術し、その後の経過を見て退院、という流れが標準的です。具体的な日数は施設の運用によって異なります。

両眼を同じ日に手術しないのは、万が一片方に感染や合併症が起きた場合にもう片方の目で生活できる状態を残しておくためです。これは日帰りでも入院でも変わらない原則で、両眼同時手術が選ばれることはほぼありません。

入院日数は施設の方針と全身状態で前後する

入院日数は施設によって運用が分かれます。同じ両眼の入院手術でも、術後の経過観察をどこまで院内で行うかで滞在日数に差が出ます。

糖尿病・高血圧・抗凝固薬の服用などがある方は、内科的な管理を並行するために通常より1〜2日長く入院になることがあります。この場合、眼科側の手術内容ではなく、全身状態を安定させるための時間として入院日数が伸びます。具体的な日数は、初診時の問診と検査結果をもとに主治医と決めることになります。

日帰りで白内障手術を受けても安全なのか

日帰り手術への不安として最も多いのが「翌日まで医師の目が届かない状態で大丈夫なのか」というご質問です。結論からお伝えすると、日帰りで行う白内障手術と入院で行う白内障手術で、手術の安全性そのものに差はありません。

日帰り手術でも安全な理由

白内障手術が日帰りで成立しているのは、以下の3つの条件が揃っているためです。

  • 切開創が2〜3mmと小さく、自然に閉じるため縫合が不要
  • 術中は局所麻酔(点眼麻酔)で完結し、全身麻酔のリスクがない
  • 術後の感染予防は点眼薬で十分な効果が得られる

これらは入院でも日帰りでも同じです。違うのは「術後の最初の数時間〜翌朝までを誰がそばで見るか」という1点で、日帰りの場合はご家族の付き添いと、翌日の通院が安全管理の柱になります。

日帰り手術にも安全に受けるための条件がある

日帰り手術はすべての方に向くわけではなく、いくつかの前提条件があります。一般的に確認されるのは次のような点です。

  • 手術後に付き添える家族がいる、または送迎の手配ができる
  • ご自宅とクリニックの距離が無理なく通院できる範囲にある
  • 認知機能・運動機能に大きな問題がなく、点眼薬の自己管理ができる
  • 持病が安定していて、手術当日の体調管理に不安がない

これらの条件のうち1つでも欠けるなら、日帰りではなく入院で受ける方が安心です。日帰り手術ができないことを「手術を受けられない」と捉える必要はなく、入院手術という選択肢が残されていると考えてください。

白内障手術の費用は入院と日帰りでどれだけ違うか

入院と日帰りで費用に違いが出るのは、手術費そのものではなく、入院に伴う食事代・差額ベッド代・入院基本料の部分です。手術代と眼内レンズ代は両者で同じ仕組みになっています。

保険診療での自己負担額の目安

単焦点眼内レンズを使う通常の白内障手術は健康保険が適用され、3割負担で片眼あたり約4〜6万円、1割負担で約1.5〜2万円が目安です。入院手術の場合は、ここに入院基本料と食事代が加わります。

入院費用のうち日帰りとの差が出るのは「入院基本料」と「食事代」で、3割負担なら1〜3泊の入院でおおむね5,000円〜2万円が目安です。これに加えて、個室や少人数部屋を希望する場合は別途「差額ベッド代」が自己負担となります。差額ベッド代は施設差が大きく、目安として個室で1日5,000〜20,000円、4人部屋で1日2,000〜5,000円程度です。具体的な金額は施設や入院期間によって変動するため、お部屋の希望とあわせて事前に施設へご確認ください。

高額療養費制度で実質的な負担はさらに下がる

白内障手術にかかる医療費は1ヶ月単位で計算され、自己負担限度額を超えた分は高額療養費制度で払い戻されます。高額療養費制度を使えば、所得区分に応じた上限額を超えた分は申請または事前手続きによって戻ってくるため、実質的な負担は窓口で支払う額より小さくなります。

70歳以上の方の場合、所得区分によって外来・入院ともに自己負担限度額が決まっており、両眼の手術を同じ月に受けても上限額を超えた分は対象になります。現在はマイナンバーカードを医療機関で提示することで、限度額情報が自動的に読み取られ、その場で上限額までの支払いに調整される運用が広がっています。詳しい区分はご自身の加入保険(健康保険組合・国民健康保険など)でご確認ください。

参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ|厚生労働省

多焦点眼内レンズを選ぶ場合の費用の扱い

多焦点眼内レンズを使う場合は費用の仕組みが変わり、国内承認の多焦点レンズは選定療養として手術代は保険適用、レンズ差額分のみ自費という扱いになります。レンズ差額の目安は片眼20〜30万円程度です。国内未承認の多焦点レンズを使う場合は手術全体が自由診療となり、片眼50〜100万円程度が目安です(使用レンズ・施設により差があります)。

多焦点レンズを希望される方も、入院・日帰りの選び方は単焦点と同じ基準で考えていただいて構いません。レンズの選択と入院日数は別々の判断軸になります。

白内障手術の入院前後にしておきたい準備と過ごし方

入院でも日帰りでも、手術前後の準備と生活上の注意点はほぼ共通です。ここでは入院・日帰り共通で押さえておきたいポイントをまとめます。

手術前にしておく準備

手術日が決まったら、術前検査(採血・心電図・必要に応じてCT/MRI)の予約と、現在服用しているお薬の確認を必ず受けてください。抗凝固薬・糖尿病薬・血圧の薬を服用中の方は、休薬の有無や服用継続の指示が出ます。

入院の場合は、入院当日に必要な持ち物として下記を準備しておくとスムーズです。

  • 健康保険証・限度額適用認定証(事前申請の場合)
  • 現在服用中のお薬・お薬手帳
  • 入院期間中の着替え・洗面用具
  • 眼鏡・サングラス(術後の保護用)
  • 室内履き・タオル類

日帰りの場合は、術後の眼帯姿で帰宅することを想定して、当日の付き添い・送迎の手配を確認しておきます。

手術後の生活上の注意点

術後1週間は感染予防が最も大切な時期です。以下が共通の注意事項です。

  • 洗顔・洗髪は術後1週間程度控える
  • 入浴は首から下のシャワーのみで浴槽は避ける
  • 汗をかく運動・水泳は1ヶ月程度控える

点眼薬は術後3ヶ月程度継続することが多く、1日数回・複数の点眼薬を時間通りに差すことが感染予防と炎症抑制の柱になります。

仕事・運転の再開時期

デスクワークの再開は手術翌日から可能になることが多く、肉体労働や粉塵の多い環境での仕事は1〜2週間〜1ヶ月程度の様子見が推奨されます。運転は片眼の眼帯が外れて視力が安定してからになるため、目安として術後1週間程度を経過して主治医の許可を得てから再開してください。

旅行・スポーツ・水泳・コンタクトレンズ装用などの再開時期は、ご本人の経過と手術日からの日数で判断します。具体的なタイミングは、術後の経過観察の通院でその都度確認するのが確実です。

まとめ

白内障手術を日帰りで受けるか入院で受けるかは、手術の難易度ではなく、術後をどこで過ごすかという生活設計の問題です。判断のポイントを整理します。

  • 手術の内容・所要時間・安全性は日帰りと入院で同じ
  • 入院日数の目安は1〜3日程度の短期入院(両眼を続けて受ける場合は片眼ずつ日をずらす分だけ全体が長くなる)
  • 日帰りは術後の付き添い・通院距離・自己管理が前提
  • 入院が向くのは持病管理・お一人住まい・通院距離が遠い方
  • 費用は手術代に入院基本料・食事代が加わる程度の差で、高額療養費制度を使えば実質負担は限定される

ご自身が日帰りと入院のどちらに向いているかは、診察と問診で判断するのが確実です。武田眼科では白内障の検査から日帰り手術までを一貫して行っており、「日帰りで大丈夫か不安」「持病があって迷っている」といった段階のご相談から承ります。白内障手術を検討されている方はお気軽に武田眼科までご相談ください。

この記事の監修者

武田眼科
院長 武田俊彦

地域の皆さんの少しでもお役に立てるよう努力します。
患者さまの目線で病気を見つめ、わかりやすい言葉でご説明することを大切にしています。

■ 経歴

  • 平成14年4月:関西医科大学眼科 入局
  • 平成15年5月:日本赤十字社和歌山医療センター眼科 勤務
  • 平成17年10月:関西医科大学滝井病院眼科 勤務
  • 平成18年4月:関西医科大学滝井病院救命救急センター 勤務
  • 平成19年8月:医療法人慈眼会 武田眼科 院長就任
  • 平成19年9月〜12月:天理よろづ相談所病院 非常勤医師

■ 資格・認定

  • 眼科専門医

【白内障手術および多焦点眼内レンズに関する重要事項】

白内障手術自体は健康保険が適用されますが、多焦点眼内レンズを選択する場合の追加部分は自由診療または選定療養の対象となり、保険診療と自費が併用されます。

  • 治療内容:濁った水晶体を超音波で取り除き、人工の眼内レンズを挿入する手術。単焦点眼内レンズは保険適用、多焦点眼内レンズは選定療養または自由診療
  • 治療期間・回数:両眼で2回(片眼ずつ実施)。所要時間は片眼10〜20分程度(個人差あり)
  • 費用の目安:単焦点眼内レンズによる手術は健康保険適用。多焦点眼内レンズを選択した場合は別途追加費用が発生します。詳しくはクリニックへお問い合わせください
  • リスク・副作用:感染症、後発白内障、眼内炎、術後の見え方の違和感、ハロー・グレアなど