寝ている間にレンズを装用して角膜の形を矯正

オルソケラトロジーでは、特殊なデザインのハードコンタクトレンズを就寝時に装用します。​

レンズは、角膜の中央部分を平坦にするよう設計されており、角膜の形状を一時的に変化させることで、
光の屈折を調整し、視力を補正します。

​朝起きてレンズを外すと、矯正された角膜の形状は一定時間持続し、日中は裸眼で過ごすことが可能です。

​ただし、効果の持続時間や視力の安定には個人差があり、最初の数日は視力が不安定になることもあります。

​また、レンズの装用を中止すると角膜は元の形状に戻るため、継続的な装用が必要です。

日中は裸眼で過ごせる

オルソケラトロジーの大きな特徴は、日中に眼鏡やコンタクトレンズを使用せずに裸眼で過ごせる点です。
​これは、夜間のレンズ装用によって角膜の形状が調整され、視力が補正されるためです。​

特にスポーツや屋外活動をする方にとって、日中の裸眼生活は快適さをもたらします。
​また、手術を伴わないため、治療を中止すれば角膜は元の状態に戻るという可逆性もあります。​

ただし、視力の安定には時間がかかる場合があり、継続的な装用と定期的な眼科受診が推奨されます。

子どもの場合：思春期まで続けることを推奨

子どものオルソケラトロジーは、日中裸眼で過ごせるようにするだけでなく、
近視の進行をゆるやかにすることも目的の一つです。

特に小学生から中学生の時期は、成長に伴って目も変化しやすいため、
思春期が終わるころまでは継続しての使用が望ましいとされています。

ただし、目の状態には個人差があるため、年齢だけで判断するのではなく、
視力の変化や装用状況を定期的にチェックしながら判断していくことが大切です。

学校生活や部活動で眼鏡やコンタクトが不便と感じている子どもにとっては、
日中裸眼で過ごせるのは大きなメリットになります。

大人の場合：日中裸眼生活を維持したい限り継続

大人がオルソケラトロジーを選ぶ理由の多くは、日中に裸眼で快適に過ごしたいという希望からです。

レンズの装用をやめると角膜は徐々に元の形に戻り、視力も元に戻っていくため、
裸眼での生活を維持したい限り、継続的な装用が必要になります。

眼鏡やコンタクトの煩わしさを避けたい、アウトドアやスポーツを楽しみたいといった日常のニーズに合わせて、
使い続けている人も多いです。

ただし、長期間の装用になるほど、目の状態をしっかり確認することが重要になってくるため、
定期的な受診を忘れないようにしましょう。

高齢者の場合：老眼や視力変化への対応

年齢を重ねると、近視だけでなく老眼や白内障といった加齢に伴う視力や目の状態の変化が現れるため、
オルソケラトロジーの適応年齢は一般的に65歳ごろまでとされています。

年齢制限は絶対的なものではなく、個人の角膜の状態や生活スタイル、老眼の程度などによって異なるため、
65歳を超えても適応可能な場合もあります。

高齢の方が続ける場合は、定期的に専門医の診察を受けながら、
視力の変化やライフスタイルに合わせて使用を見直すことが必要です。

年齢とともに変化する目の状態に合わせた柔軟な対応が、より快適な視生活につながります。

治療効果が得られない場合

レンズをきちんと装用していても、視力の改善があまり見られない場合は、中断を検討する必要があります。

特に、角膜の形がレンズのデザインにうまく合わなかったり、
装用時間が足りていなかったりすると、思うような効果が出にくいかもしれません。

また、装用しても視力が日中安定しない、見え方にムラがあるといった状態が続くと、
日常生活に支障が出ることもあります。

そういった場合は、レンズの種類を見直したり、他の矯正方法に切り替えたりする選択肢も考えられます。

治療効果が感じられないときは、自己判断でやめるのではなく、
まずは眼科で相談して専門医によるアドバイスを受けるようにしましょう。

強度近視や強度乱視の場合

オルソケラトロジーは軽度から中等度の近視に適しており、
視力が非常に悪い場合や乱視が強いケースでは、十分な効果が得られにくい可能性があります。

レンズの仕組み上、矯正できる視力の限界があるため、強度近視や強度乱視では視力の安定性や持続時間が不足します。

例えば、朝にしっかり見えていたとしても、午後には視力が落ちてくるといった状態になる可能性も否定できません。

このような場合、オルソケラトロジーを継続するよりも、
自分に合ったICLやレーシックなどの他の視力矯正方法に切り替えるほうが、ストレスなく生活できるケースもあります。

目の健康状態に問題がある場合

目に炎症があるときや、アレルギー症状が強く出ているときなどは、
オルソケラトロジーの使用を一時的に中断する必要があります。
レンズを使うことで刺激になり、症状が悪化する恐れがあるためです。

また、角膜に傷がついていたり、ドライアイがひどい状態のまま装用を続けてしまったりすると、
思わぬトラブルにつながることもあります。

目に違和感があったり、充血が続いたりするようなときは、
無理せず眼科を受診して、治療を一旦お休みすることも大事です。

定期的な検診を通じて、目の状態を確認しながら治療を続けることが、トラブルを避けるポイントになります。

妊娠・授乳中の場合

妊娠中や授乳中は、ホルモンバランスの変化によって目の状態も一時的に変化する可能性があります。

例えば、角膜の形が変わったり、涙の量が減って乾きやすくなったりと、レンズが合わなくなるケースもあります。

目の状態が変化しやすい時期に無理にオルソケラトロジーを続けると、
視力が安定しにくくなったり、装用感に違和感を覚えたりするリスクもあります。

そのため、妊娠・授乳中は装用を一時中断し、体調が落ち着いてから再開する方も少なくありません。
体の変化に敏感な時期だからこそ、レンズの使用については医師と相談しながら進めると良いでしょう。

老眼の進行による影響

年齢を重ねると、近くが見えにくくなる「老眼」が進んできます。

オルソケラトロジーは主に近視を矯正するため、
老眼が進むと遠くは見えても手元が見えにくくなって不便を感じるようになる場合があります。

視力のバランスが取りにくくなってきた場合、オルソケラトロジーを続けるよりも、
老眼に合わせた視力矯正方法に切り替えることも検討した方が良いでしょう。

例えば、遠近両用眼鏡・コンタクトレンズや多焦点眼内レンズ手術などの方法があります。

年齢による視力の変化は避けられないもののため、自分の暮らし方に合った方法を選んでいくことが大切です。
眼科での定期的な相談が、その都度の最適な判断につながります。

中止後2週間～1ヶ月程度で視力が治療開始前の状態に戻る

オルソケラトロジーは、特殊なレンズを使って寝ている間に角膜の形を一時的に変える方法のため、
装用をやめると角膜は少しずつ元の形に戻っていきます。

多くの場合、中止してから2週間〜1ヶ月程度で、視力は治療を始める前の状態に戻ります。
視力の戻り方には個人差があるため、戻るスピードが早い人もいれば、ゆっくり変化する人もいます。

この期間は視力が安定しにくく、見え方が変わりやすいため、運転や勉強などに影響が出ることもあるかもしれません。
必要に応じて眼鏡やコンタクトで調整しながら過ごすと良いでしょう。

他の視力矯正方法への移行が必要

オルソケラトロジーをやめると、時間の経過とともに視力は元に戻っていくため、
裸眼での生活を続けたい場合や視力の低下を放置したくない場合は、別の方法で視力を補う必要があります。

選択肢としては、以下のようなものがあります。

• 眼鏡による矯正
• コンタクトレンズによる矯正（ソフト・ハード）
• 低濃度アトロピン点眼（子どもの近視進行抑制の場合）
• 屈折矯正手術（レーシック・ICLなど）

自分の目の状態やライフスタイルに合った方法を選ぶことが大切です。
眼科で相談しながら、自分にとって無理のない方法を検討していきましょう。

一度中止した後でも再開可能

オルソケラトロジーは、中断後に再開することも可能です。

ただし、角膜の形が戻ってしまっているため、最初のころと同じように再調整が必要になります。
新たに視力検査を行い、必要があればレンズの度数や種類を見直します。

再開にあたっては、「今の生活スタイルに合っているか」「レンズの扱いに慣れているか」なども確認しながら、
医師と相談のうえで進めるのが良いでしょう。

再び日中裸眼で過ごす生活を目指したいときには、選択肢の一つとして検討してください。

オルソケラトロジーを続けるか迷ったときは、まず日常生活にどの程度メリットを感じているかを振り返ってみましょう。
例えば、以下のような点をチェックすると判断のヒントになります。

• 日中、裸眼で快適に過ごせているか
• レンズの手入れや装用が負担になっていないか
• 視力の変動が気にならないか

また、装用中に見え方が安定しない、違和感がある、目のトラブルが出てきたなどの変化がある場合は、
そのまま続けるのはおすすめできません。

迷ったときはひとりで悩まず、眼科で今の状態を確認してもらい、
医師と相談して今後の方向性を一緒に考えると良いでしょう。

オルソケラトロジーは、子どもの場合は近視進行抑制のため思春期までの継続が推奨されます。
大人は裸眼生活を望む限り継続可能で、視力や目の状態により65歳頃まで適応可能です。

装用を中止すれば角膜が元の状態に戻る可逆性の治療法のため、
目的やライフスタイルの変化に合わせて、いつでも治療を続けるか見直せます。

医療法人慈眼会 武田眼科では、眼科専門医が目の状態を丁寧に確認し、
一人ひとりに合ったオルソケラトロジー治療を提案します。

初回適応検査からアフターケアまでしっかりサポートし、お子さまの近視抑制にも対応しています。
オルソケラトロジーに興味がある方は、ぜひ一度医療法人慈眼会 武田眼科にご相談ください。