白内障手術は高齢者でも受けられる?
リスクや対策を解説

目次
白内障手術は、高齢者にとって視力を取り戻し、生活の質を向上させる治療法です。
しかし、年齢や体調による影響で不安を感じる方も多いかもしれません。
この記事では、高齢者が白内障手術を受ける際に知っておきたいリスクやその対策について詳しく解説します。
また、手術を受けるタイミングや術後のケア、日常生活での注意点なども取り上げています。
手術に臨むためのポイントを押さえ、快適な視界を取り戻すための参考にしてください。
白内障手術は高齢者でも受けられる?

白内障手術は、年齢に関係なく受けることが可能です。
特に高齢者の場合でも、身体的な制約がない場合、手術を受けることができます。
手術は局所麻酔で行われ、10~15分程度と短時間で済むため、身体への負担も軽微です。
実際に90代や100歳を超える方が手術を受けたケースもあり、
視力の回復によって生活の質が大きく向上する効果が期待されています。
白内障手術は認知症予防につながる
白内障手術は、ただ視力を良くするだけではなく、認知症予防にも役立つといわれています。
目から入る情報は脳に送られる情報の大半を占めており、視力低下は脳への刺激を減少させます。
その結果、脳の働きが鈍くなり、認知機能の低下や認知症のリスクが高まることがあるのです。
アメリカのワシントン大学が行った『Adult Changes in Thought(ACT)』研究では、
白内障手術を受けた高齢者は認知症の発症リスクが約30%低下することが明らかになりました。
65歳以上の3,000人以上を対象に10年間追跡調査を行い、白内障手術を受けた人は手術を受けていない人と比べて
全般的な認知症やアルツハイマー型認知症のリスクが大幅に減少したと報告されています。
ただし、重度の認知症患者の場合は手術後に大きな変化が見られないこともあるため、早めに対応することが大切です。
高齢者が白内障手術を受ける際のリスク

白内障手術は視力を回復させ、生活の質を向上させる効果が期待できますが、
高齢者が手術を受ける場合、年齢や体調による影響でいくつかのリスクが考えられます。
ここでは、高齢者が白内障手術を受ける際に考慮すべき主なリスクについて詳しく解説します。
手術自体のリスク
白内障手術は安全性が高いとされており、多くの方が問題なく受けられる手術です。
ただし、まれに合併症が起こることもあるため、注意が必要です。
例えば、術後に眼内炎(感染症)が発生する可能性は非常に低いですが、
万が一重症化すると視力に影響を与える可能性があります。
また、術後に一時的な眼圧の上昇や角膜の腫れが見られる場合もあります。
高齢者の場合は、全身麻酔ではなく局所麻酔で行うことが一般的です。
そのため身体への負担は少ないものの、持病や体調によっては麻酔の影響が出る可能性も考えられます。
リスクをできるだけ減らすためには、事前の検査をしっかり受け、術後のケアをきちんと行うことが大切です。
水晶体の硬化や肥大化による手術難易度の上昇
白内障が進行すると、水晶体が硬くなって肥大化し、水晶体を取り除く際に切開を大きくする手術が必要です。
硬い水晶体を砕くために超音波エネルギーを多く使うことが増え、目の組織への負担がかかりやすくなることもあります。
また、水晶体を支える組織が弱くなるケースもあり、手術中に合併症が起こるリスクが高まる可能性があります。
こうした状況を避けるためにも、白内障は進行しすぎる前に手術を受けるのがおすすめです。
早めに手術を受ければ安全性も高く、回復もスムーズになるため、
気になる症状があれば早めに眼科医に相談してみてください。
体力低下や持病による影響
高齢者が白内障手術を受ける際には、体力の低下や持病が影響することがあります。
特に以下のような場合には注意が必要です。
- 糖尿病:血糖値のコントロールが不十分だと、術後の感染症リスクや傷の治癒が遅れる可能性がある
- 高血圧や心疾患:手術中のストレスで血圧や心拍数が変動しやすく、リスクが高まる
- 体力低下:長時間仰向けでいることが負担になる
これらのリスクを減らすためには、事前に全身状態を整えることが大切です。
医師と相談しながら適切なタイミングで手術を受けましょう。
持病を抱えている場合は、担当医と眼科医が連携して治療計画を立てることも重要です。
高齢者が白内障手術を受けずに放置するとどうなる?

白内障を放置すると、視力の低下だけでなく、日常生活や健康にさまざまな影響を及ぼします。
具体的には以下のようなリスクが考えられます。
- 視力の著しい低下:進行すると物がぼやけて見えたり、最終的には視力をほとんど失う可能性もある
- 転倒やケガのリスク:視界が悪化することで、歩行中の転倒や骨折の危険性が高まる
- 緑内障の発症:進行した白内障は眼圧を上昇させ、急性緑内障を引き起こす可能性がある
- 生活の質(QOL)の低下:趣味や日常的な活動が制限され、心理的なストレスや孤立感につながる
白内障は早期に治療を行えば安全に対処できる病気です。
症状が軽いうちに手術を検討すると、リスクを大幅に減らせます。
視界に違和感を感じたら、早めに眼科医に相談すると良いでしょう。
高齢者が白内障手術を受けるための準備と配慮

白内障手術は、高齢者にとって視力を回復し、生活の質を向上させる大切な治療です。
しかし、安全かつスムーズに手術を受けるためには、適切な準備や体調管理、そして術前後のケアが欠かせません。
ここでは、高齢者が白内障手術を受けるために必要なポイントを解説します。
適切なタイミングで手術を受ける
白内障手術は、視力低下が日常生活に支障をきたすタイミングで受けるのが理想的です。
進行しすぎると水晶体が硬化し、手術の難易度が上がるだけでなく、目の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
例えば、白内障が進むことで緑内障や眼圧上昇などの合併症を引き起こすリスクも高まります。
また、視力低下は転倒や事故のリスクを増加させるため、特に高齢者の場合は早めの対応が重要です。
視界の霞みやまぶしさなどの症状を感じたら早めに受診し、手術時期は医師と相談しながら決めることをおすすめします。
術前・術後ケアの徹底
白内障手術後は目がデリケートな状態になるため、術前・術後のケアが欠かせません。
術前には感染症予防のための点眼薬や体調管理が必要です。
術後は以下の点に注意しましょう。
- 目をこすらない
- 入浴や洗顔は医師の指示に従う
- 点眼薬を忘れず使用する
- 紫外線やほこりから目を守るため保護メガネを着用する
これらを守ることで、回復をスムーズに進められます。
身体のコンディションを考慮する
高齢者の場合、体力や持病の影響で手術への不安があるかもしれません。
そのため、事前に全身状態を確認し、必要であれば主治医と連携して準備を進めることが大切です。
例えば、糖尿病や高血圧など持病がある場合は、それらをコントロールした上で手術に臨むことが推奨されます。
また、体調が良い日程を選び、無理なく通院できるよう計画することも重要です。
身体に負担をかけず、安全に手術を受けられる環境作りを心掛けましょう。
白内障手術後の日常生活での注意点

白内障手術後は、視力が回復して日常生活が快適になる一方で、目の回復を妨げないようにいくつかの注意が必要です。
特に入浴や運動、飲食など、普段何気なく行っていることにも配慮が求められます。
ここでは、術後の生活で気をつけるポイントを解説します。
入浴・洗顔の注意点
手術後は目がデリケートな状態になるため、入浴や洗顔には慎重さが求められます。
- 手術当日:入浴は控える
- 翌日から:首から下のシャワーは可能だが、顔や目に水がかからないよう注意する
- 5日目以降:洗顔や洗髪は、目に水が入らないよう優しく行う
また、温泉やサウナは感染リスクを避けるため、術後2週間程度控えるのがおすすめです。
髪の汚れが気になる場合はドライシャンプーを使うか、美容院で目を保護しながら洗髪してもらうと安心です。
運動・活動で気をつけること
術後すぐに激しい運動を行うと、目に負担をかける恐れがあります。
- 軽い散歩:手術翌日から可能
- ジョギングや筋トレ:1~2週間程度控える
- ゴルフやテニス:1か月ほど休むことが推奨される
汗による感染リスクや、目に衝撃が加わる危険性を避けるため、運動再開時期は医師と相談してください。
また、水泳やスキーなど特に目に影響を与えやすいスポーツは慎重な判断が必要です。
飲食・嗜好品への配慮
術後の飲食については大きな制限はありませんが、一部注意点があります。
- 飲酒:アルコールは感染リスクを高める可能性があるため、1週間程度控える
- 刺激物:わさびやコショウなどの刺激物は術後3日間ほど避ける
- カフェイン:コーヒーやお茶も手術翌日まで控える
- 喫煙:禁煙または少なくとも術後2週間程度控える
バランスの良い食事と健康的な生活習慣を心掛けることで、体調管理にもつながります。
不安な点があれば医師に相談するようにしてください。
高齢者が安心して白内障手術を受けるために

白内障手術は高齢者にとって視力を回復し、生活の質を向上させる重要な治療ですが、不安を感じる方も少なくありません。
安心して手術を受けるためには、信頼できる眼科クリニックの選択や家族のサポートが欠かせません。
ここでは、具体的なポイントをご紹介します。
高齢者対応が充実した眼科クリニックを選ぶ
高齢者が安心して白内障手術を受けるためには、高齢者対応がしっかり整った眼科クリニックを選ぶことが重要です。
高齢者特有のニーズに応じたサービスを提供しているクリニックは安心感があります。
以下のようなポイントに注目すると良いでしょう。
- 糖尿病や心疾患など、全身疾患を持つ方でも手術が可能な体制が整っている
- 高齢者特有の健康状態に配慮した診療が受けられる
- 身体的負担を軽減する日帰り手術
- 術後の丁寧な経過観察を行う体制も重要です。
- 駅近など通いやすい立地にある
これらの条件を満たしたクリニックを選ぶと、高齢者でも安心して治療に臨むことができます。
医師の経験や実績も確認しながら、自分に合った環境の整ったクリニックを探してみてください。
家族と連携して術後ケアを行う
白内障手術後は、家族のサポートが回復をスムーズに進める大事なポイントです。
特に術後の初期は目を保護するためにいろいろな制限があるので、家族が日常生活を手助けし負担を減らすことができます。
例えば、重い物を持つのを手伝ったり、無理な動作を避けるようサポートしたり、点眼薬の管理を手伝うのも役立ちます。
また、医師からの指示やフォローアップの日程を家族で共有しておけば、治療がよりスムーズに進むでしょう。
まとめ
高齢者にとって白内障手術は、視力を回復し生活の質を向上させる重要な治療法です。
局所麻酔で行われ、身体への負担が少ないため、高齢者の方でも受けられます。
ただし、高齢者特有の体調や持病によるリスクもあるため、適切な準備や医師との相談が必要です。
医療法人慈眼会 武田眼科では、日帰り手術と丁寧なフォローアップ体制により、
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高齢で白内障手術に不安がある方も、ぜひ 医療法人慈眼会 武田眼科にご相談ください。