眼科コラム

白内障手術はしない方がいい?

デメリットやリスクとすべきタイミング

目次

白内障手術を受けるべきか迷っている方に向けて、手術のメリットやデメリット、
また手術をしない場合のリスクや対策について詳しく解説します。

白内障は進行性の病気ですが、症状や生活スタイル、健康状態によって最適な対応は異なります。

この記事では、手術を検討するべきタイミングや、手術をしない方がいいケースについて考えていきましょう。

白内障手術とは?

白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、
代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入することで視力を回復させる手術です。
一般的に短時間で行われ、日帰りで受けられることが多い治療法です。

白内障は手術なしでは治らない

白内障は、目の水晶体が濁ることで視力が低下する病気です。
一度濁った水晶体は自然に元に戻ることはなく、点眼薬や生活習慣の改善でも完治することはありません。

初期段階では点眼薬による進行防止が可能ですが、進行すると視界がぼやけたり眩しさを感じたりするため、
日常生活に支障をきたすことがあります。

日常生活に支障をきたす場合、根本的な治療として手術が必要です。

白内障手術では、濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、その代わりに眼内レンズを挿入します。
これにより視力が回復し、再発することはありません。

ただし、人工レンズ周囲の濁り(後発白内障)が発生する可能性があります。

また、手術は局所麻酔で行われるため痛みも少なく、安全性の高い治療法とされています。
白内障が進行すると合併症や失明のリスクもあるため、早期発見と適切なタイミングでの手術が重要です。

気になる症状があれば早めに眼科医に相談しましょう。

白内障手術のメリット・デメリット

白内障手術は、視力を回復させるために濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する手術です。
視界の改善や生活の質向上が期待される一方で、リスクや注意点も存在します。

ここでは、白内障手術のメリット・デメリットについて解説します。

メリット

白内障手術は視力を回復し、生活の質を大きく向上させる治療法です。
濁った水晶体を人工の眼内レンズに置き換えることで、視界がクリアになり、日常生活が快適になります。

また、現代の手術技術は短時間で行えるため、多くの人が恩恵を受けています。
白内障手術のメリットは以下の通りです。

  • 視力の改善:霞みやまぶしさが解消され、鮮明な視界を取り戻せる
  • 屈折矯正:近視や遠視、乱視を軽減できる場合があり、眼鏡依存が減ることもある
  • 生活の質向上:運転や趣味などが快適になり、自信や活動意欲が高まる
  • 他の眼疾患への対応:手術後は目の奥まで検査しやすくなり、他の病気の早期発見につながる
  • 再発の心配がない:一度手術を受ければ白内障は再発の心配はない

白内障手術は視力だけでなく心身全体の健康にも良い影響を与える治療法です。

デメリット

白内障手術は多くのメリットがありますが、デメリットやリスクも存在します。
デメリットを理解し、医師と十分に相談した上で手術を受けることが大切です。

白内障手術のデメリットは以下の通りです。

  • ピント調整機能の喪失:人工レンズには自然な水晶体のようなピント調整機能がないため、
    単焦点レンズでは特定の距離以外を見る際に眼鏡が必要になる
  • 合併症のリスク:稀に感染症や眼圧上昇、後発白内障などが発生する可能性がある
  • 術後の違和感:多焦点レンズの場合、眩しさ(ハロー・グレア)や見え方への慣れが必要な場合がある
  • 度数のずれ:術前に選んだレンズの度数が合わず、追加矯正が必要になる
  • 費用負担:多焦点レンズなど保険適用外の選択肢は高額になる

手術後は新しい視界に慣れるまで時間がかかる場合もあるため、術後ケアや経過観察をしっかり行うことが重要です。

白内障手術をしない方がいいケース

白内障手術は視力改善に効果的ですが、必ずしも全員に必要なわけではありません。
症状の程度や健康状態、心理的な要因によって手術を控えるべき場合もあります。

ここでは、白内障手術をしない方がいいケースについて解説します。

症状が軽く日常生活に支障がない場合

白内障の症状が軽度で、視界の霞みやぼやけがあっても日常生活に大きな影響がない場合は、手術を急ぐ必要はありません。

運転や読書などの日常活動に支障がなく、点眼薬で進行を抑えられる段階では、経過観察を選択するのも適切です。

白内障は進行性の病気ですが、進行速度には個人差があるため、症状が悪化してから手術を検討することも可能です。

また、手術には費用や時間がかかるため、現状で生活に支障がない場合は無理に受ける必要はありません。

医師と相談しながら、自分のライフスタイルに合ったタイミングを見極めることが重要です。

健康状態による制約

白内障手術は安全性が高い治療法ですが、全身の健康状態によっては適応できない場合があります。

例えば、心臓疾患や糖尿病などの持病がある場合や、免疫力が低下している状態では、
手術後の回復が遅れる、合併症のリスクが高まる
などがあります。

また、高齢者の場合は体力や健康状態によって手術への耐性が異なるため、慎重な判断が必要です。

さらに、目以外の疾患で治療中の場合は、その治療との兼ね合いも考慮する必要があるため、
主治医と眼科医の両方に相談し、治療の安全性を確認しましょう。

手術への恐怖や不安感が強い場合

白内障手術に対して強い恐怖心や不安感を抱いている場合は、その心理的負担を軽減することが優先されます。

手術自体は短時間で痛みも少ないとされていますが、
『目に触れる』というイメージから抵抗感を持つ人も少なくありません。

不安が強い場合は、一度医師と話し合い、不安の原因を明確にすることが重要です。
不安を抱えたまま手術を受けると、ストレスが増し、体調にも影響を与える可能性があります。

心理的準備が整うまで経過観察を選ぶことも一つの方法です。

不安感が特に強い場合には、笑気麻酔を利用する選択肢があります。
笑気麻酔は鼻から吸入するタイプの麻酔で、リラックス効果が高く、手術中の痛みや不安を軽減することができます。

また、作用が速く、手術後すぐに回復するため身体への負担も少ないとされています。

白内障手術をしない場合の対策

白内障手術を避けたい場合でも、症状を軽減し日常生活を快適にする方法があります。
視力を補ったり生活環境を整えたりする工夫が必要です。

ここでは、白内障手術をしない場合の対策について解説します。

眼鏡やコンタクトレンズで視力を補う

白内障で視界がぼやけてきたら、眼鏡やコンタクトレンズを使って視力をサポートするのがおすすめです。
特に初期段階なら、視力矯正用のレンズで見え方がかなり改善されます。

例えば、近視や乱視がある場合、それに合ったレンズを選ぶだけで視界がクリアになるケースもあります。

また、眩しさが気になるときは、遮光レンズやサングラスを使うと快適さがアップするでしょう。

ただし、白内障が進行してくると、眼鏡やコンタクトだけではカバーできなくなることもあるため、
定期的に眼科で診てもらうと良いでしょう。

生活環境の改善

白内障で視界が不便なときは、生活環境を整えることで快適さを保てる可能性があります。
日常生活のストレスを軽減するために、以下の改善策を試してみると良いでしょう。

  • 室内照明を明るくする
  • 拡大鏡を使用する
  • カーテンやブラインドで光量調整
  • 偏光サングラスの利用

こうした工夫を取り入れると、手術をしなくても快適な生活環境を維持できる可能性があります。

進行抑制のための日常ケア

白内障の進行を遅らせるには、日常生活でのちょっとした工夫が役立ちます。
紫外線対策や目に優しい生活習慣を意識することで、水晶体への負担を減らすことができます。

以下のポイントを参考にしてみてください。

  • 紫外線対策をする:帽子やUVカットサングラスを着用し、紫外線から目を守る
  • 抗酸化作用のある栄養を摂る:ビタミンCやEが豊富な食材を取り入れ、目の健康をサポート
  • 目に負担をかけない:スマホやパソコンの使用時間を減らし、適度に休憩を取ることで目を休ませる
  • 定期的な眼科検診:眼科で目の状態をチェックし、必要に応じて点眼薬で進行抑制をする

これらの日常ケアを取り入れると、白内障の進行を少しでも遅らせる効果が期待できます。

白内障手術をしないデメリット・リスク

白内障手術を受けない場合、症状が進行することで視力低下や失明、合併症の発症、
手術の難易度増加などのリスクが生じる可能性があります。

ここでは、白内障手術をしないデメリット・リスクについて解説します。

視力低下・失明

白内障をそのままにしておくと、水晶体の濁りが徐々に進んで視界が悪くなり、
最終的には視力が大きく低下し、場合によっては失明してしまう可能性
もあります。

特に、水晶体が完全に白く濁ってしまうと、日常生活に大きな支障が出るだけでなく、
水晶体が液状化して炎症を起こす『水晶体融解性ぶどう膜炎』と呼ばれる病気になる恐れもあります。

水晶体融解性ぶどう膜炎になると、激しい痛みや充血が生じ、緊急手術が必要になるケースも少なくありません。

また、白内障が進むと急性緑内障発作を引き起こすリスクも高まり、
これが原因で視野が欠けたり、失明する可能性もあります。

手術の難易度と後遺症リスクの増加

白内障を長い間そのままにしておくと、水晶体が硬くなってしまい、手術が難しくなるリスクがあります。

通常は超音波で水晶体を砕いて取り除きますが、硬くなりすぎるとこの作業が大変になり、
手術中にトラブルが起きる可能性も高まるでしょう。

また、水晶体の濁りがひどくなると、術前検査で正確なデータを取るのが難しくなります。
眼内レンズの度数がズレてしまい、視力回復に影響が出るかもしれません。

さらに白内障が進行しすぎると、特殊な方法や追加処置が必要になることもあり、後遺症のリスクも高まります。

こうした問題を防ぐためにも、早めに診察を受けて手術のタイミングを見極めることが大切です。

認知症のリスクが高まる

白内障を放置して視力がどんどん低下すると、認知症のリスクが高まります。

人は周りの情報のほとんどを目から得ており、視界が悪くなると脳に届く情報が減り、
脳の働きが鈍くなってしまう
ためです。

また、見えづらさから外出や趣味を控えるようになり、活動量が減ることで気分が落ち込みやすくなる場合もあり、
これも認知症のリスクを高める原因になります。

一方で、白内障手術を受けることで認知症の発症リスクが低下するという研究結果も報告されています。
こうした点からも、白内障を放置せずに適切なタイミングで治療を受けることが重要です。

白内障手術を検討するべきタイミング

白内障は進行性の病気であり、症状や進行度合いによって手術を検討するタイミングが異なります。

日常生活に支障を感じる場合や、医師から進行について指摘された場合は、早めに対応することが大切です。
それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

症状が日常生活に影響している場合

白内障の症状が進むと、日常生活に支障をきたすことがあります。
視界がぼやけたり、まぶしさを感じたりすることで、
運転や読書、スマホの使用などが不便になる場合は手術を検討するタイミング
です。

以下のような症状がないか確認しましょう。

  • 車の運転中に標識や歩行者が見えづらい
  • 読書やスマホの文字がぼやけて見える
  • まぶしさを感じることが増えた
  • 趣味や仕事に支障を感じるようになった

視界の不便さを感じ始めたら早めに眼科を受診し、自分の生活スタイルに合った治療計画を立てることが大切です。

白内障は進行性の病気なので、不便さを放置せず対応すると快適な生活を取り戻せるでしょう。

医師から進行度合いについて指摘された場合

白内障は自覚症状が少ない場合もあり、自分では気づかないうちに進行していることがあります。

定期的な眼科検診で「水晶体が硬くなってきている」「進行しているので早めの手術がおすすめ」と
医師から指摘された場合は、そのアドバイスを参考にする
ことが重要です。

特に、水晶体が硬化すると手術の難易度が上がり、目への負担も増えるため、早めの対応が推奨されます。

また、自覚症状がなくても視力検査や眼底検査で異常が見つかることもあるため、
医師の判断を信頼し、適切なタイミングで治療を受けるよう心掛けましょう。

まとめ

白内障手術をしない方がいいケースとして、症状が軽く日常生活に支障がない場合や、
健康状態による制約、手術への恐怖心が強い場合などが挙げられます。

しかし、白内障を放置すると視力低下や合併症のリスクが高まり、
最終的には失明や認知症のリスクも増加する可能性があるため、適切なタイミングでの治療が重要です。

医療法人慈眼会 武田眼科では、日帰り手術を実施しており、短時間で負担を軽減しながら治療を受けられます。

低濃度笑気ガス麻酔を使用し、患者さんの不安をやわらげる環境づくりや、
定期的な診察を通じて合併症のリスク管理を徹底しています。

白内障に関する不安や疑問があれば、ぜひ 医療法人慈眼会 武田眼科へご相談ください。